「孤高のエゾリス」
「孤高のエゾリス」

メインストリートを北へ進んだ先に、静かな公園のような場所がある。札幌農学校第二農場と呼ばれるその場所は、いつも人気が少なくゆったりとした時間が流れている。喧騒から逃れるように僕はよくこの場所を訪れるのだが、たびたびそこで先客に鉢合わせる。小さな工ゾリス達だ。
ある冬の朝、積もった雪が音という音を吸収して一際静かになった第二農場で、ふかふかの新雪の上で戯れるリス達に出会った。人間の僕に驚くこともなく、むしろ近寄ってきてクルミをよこせとせがんでくる。その瞬間僕は、種の垣根を超えて、古参の彼らに頭を垂れるただの新米に過ぎないことを知るのだった。
(104期 上村 俊介)