齋藤 和雄
 年頭のご挨拶 -ミレニアムの峠にたって-
同窓会会長
田邊 達三(30期)
 

 年頭にあたり会員の皆様に謹んで新年のご挨拶を申し上げます。皆様には今世紀最後の新年を新たな希望と夢を胸にされて、お迎えのことと拝察いたします。

 私どもは本年、ミレニアムという千年を分ける記念すべき峠に立つことになりました。千年は人類の発展史からみて長い節目ですが、より身近なセンチュリーという立場でみても、過ぎる20世紀は科学技術が急速に進展し、驚くべき変革の百年でありました。なかでもその最大の成果とされますのは、一つは原子構造と物理法則を解明した量子力学であり、今一つは遺伝子構造の発見でした。量子力学によってエレクトロニクスが拡がり、コンピューター文化が築かれました。遺伝子構造の発見は生命を解明する糸口を切り開き、遺伝子医学、バイオテクノロジーが導入されました。  次の21世紀の予測では、さらに情報科学、ナノテクノロジーと生命科学が発展するとされています。医学の分野でも遺伝子工学、遺伝子治療、脳科学、ハイブリッド型コンピューターなどの研究が一気に進むといわれています。

 このような相次ぐビッグバンのなかで、科学技術は人類の生活を豊かにする反面、人類を破滅させる危険性を持つことも明らかになりました。そして科学技術の賢明な選択と応用が必要とされています。これから人類は増えつづけて21世紀の半ばには85億になるといわれていますが、この人口が地球上で生存できる条件はまだできていないといわれます。その対策として医療も例外ではなく、科学技術を応用した新しい医療の開発が求められています。医学の科学性と人間性、医療制度、情報開示、機能評価など、課題は枚挙に暇がありません。  昨年の年末には2000年問題でコンピューターの誤作動による反乱が心配され、ライフラインの確保は勿論、病院では医療の安全性が問われ、大晦日から元旦は対応に追われました。幸い重大な事態はありませんでしたが、私どもが編み出した科学技術に振り回される思いでした。そして同じ事態がこれからも起こる懸念もでてきました。このような科学技術の光と影の問題は一層複雑多様化することも考えられます。そのためにも科学技術をリードする大学などの学術活動の推進、アカデミーに期待が寄せれています。

 このような激動の時代にあって、同窓会活動も新しい考え方で、母校における学術活動の支援と密な情報の交流が必要と考えます。そのため会員一同が積極的に参加できる同窓会活動のなかで、それぞれが役割を担っていただきたいと考えます。年頭から堅苦しい挨拶になりましたが、会員皆様のますますのご多幸とご活躍を祈念申し上げます。

 

 
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