新入会員を歓迎して
北海道大学医学部同窓会会長

西 信三(42期)
 

 医学部87期の皆さん、ご卒業おめでとうございます。 同窓会会員一同、皆さんを心より歓迎いたします。同窓会員は皆さんの入会により98名増加し、6,306名となりました。

 さて、皆さんはこれから卒業の喜びと感慨に浸る間も無く、立派な一人前の医師となるべく2年間の卒後臨床研修に入ります。学生時代に受けた最新の医学教育を基に一歩ずつ目標に向かい進んで下さい。医師はその一生を通じて毎日研鑽を怠ってはならないものですから気を引き締め、これからの日々が非常に大切な時期の始まりであると思って下さい。 この卒後臨床研修について少し述べますと、私が卒業した昭和41年には評判の良くない「インターン制度」がありました。全国の医学生達は政府にその改善を要求したのですが、政府はそれには応えず、「インターン制度」自体を廃止してしまいました。
その36年後の平成16年に現在の制度ができました。皆さんは卒業と同時に医師となり、2年間の研修により臨床医学全般に亘る実力を得ることができます。
しかし、一方では、この制度による弊害が生じているのも事実です。
(1) 地域医療を支える医師の不足 (2) 大学の研究・診療の水準低下のおそれ
(3) 医師として早い時期から専門分野で活躍する機会を奪う の3点が大きな弊害として挙げられるかと考えます。
善悪一体の有様は社会人として一歩を踏み出した途端、皆さんが目にする現実であり、常に闘いと批判の気持ちを持っていなければ進むべき方向を見失います。

 現在のわが国は、3・11の大震災と原発事故、そして低迷する経済に直面しています。皆さんには医師として、また日本国民として国の現状を少しでも良い方向へ向かっていく様奮闘して下さることを切に願います。逆境にある時こそ、利害得失を度外視して同窓生は勿論広く手を携え「助け合う」精神力と行動力こそが苦難を乗り越える原動力であろうと考えます。 若い皆さんには この国難を乗り越えるべく頑強な精神力と真心のある実行力を期待しています。

 皆さんが活躍する分野、住む地が異なっていても同窓の方々と連携をとりより大きな力を産み出し、夫々が堅実且つ着実な人生を歩まれます様心から願っております。

 

 
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