新年のご挨拶
医学研究科長・医学部長

安田 和則(52期)
 

新年、明けましておめでとうございます。

昨年度、北海道大学医学研究科・医学部は教育・研究・診療が三位一体となった我々の使命に応えるため、全力で取り組んでまいりました。教育に関しては、国の要請を受け、医学科学生定員を7人増やしました。現在の学生定員は112名となっています。ここで重要なことはその教育の質を落とさないことです。そのために国から数名の人件費(教員増)と設備費の措置がありましたが、それは必要な措置のほんの一部といわざるを得ず、現在も交渉を続けているところです。一方、増やした教員を有効に教育の質の向上に結びつけるために、各分野とは独立した研究科直属の組織としての医学教育推進センターを設置し、それらの教員をそこへ配置しました。また学士教育カリキュラムの抜本的改革・改良に取り組んでおります。

基礎・臨床研究に関しても、医学研究科の研究者は着実に研究を進めております。例えば、昨年度の文科省科学研究補助金の獲得件数は135件であり、これは一昨年の113件に比べて大きく伸びております。これは若い教員の努力を示しており、その努力の延長上に指導的教員が行なう大型外部資金の獲得があると思います。昨年度には文科省「最先端研究開発支援プログラム」と環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査」という2件の超大型国家プロジェクトが、医学研究科を中心に始まりました。このように医学研究科・医学部は着実に発展を続けております。

しかし今年度を展望すると、明るい見通しばかりではありません。まず、国家の教育予算が大きく削減されそうです。それは北海道大学への運営費交付金の削減となり、医学研究科の研究教育予算が減少することになります。そして、そうした中で我々は医学教育の質を維持するため、増員した医学部学生のために講義室の改修や実習室の整備を緊急に行わねばなりません。資源のない日本においては人材こそが資源であり、その資源を育てようとしない国策は極めて遺憾であると言わざるを得ません。さらに学士教育カリキュラムの充実の問題、多くの教授が来年ご退職になる中で大学院教育の充実を図らねばならない問題、なども大きな教育上の課題です。他にも様々な問題が予想され、我々、現教職員は今年も一丸となってこの困難な状況と戦っていく覚悟を固めております。同窓会員の皆様におかれましては、どうか今年も北海道大学医学研究科・医学部に対し深いご理解と暖かなご支援をいただけますよう、お願いを申し上げます。

 

 
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