北海道大学医学部同窓会副会長に就任して
同窓会副会長

有賀 正(54期)
 

 この度、はからずも北海道大学医学部同窓会副会長に就任いたしました。私は昨年の4月から安田和則医学研究科・医学部長のもとで医学科教務委員長を拝命しておりまして、今回の身に余る人事は役職指定による指名だと理解しております。これまで同窓会に貢献していたかと問われると、恥ずかしながらと答えるほどしか活動しておりません。新入同窓会員の歓迎会に可能な限り出席していた事ぐらいでしょう。しかし、今後は心を入れ替え、微力ではありますが西信三同窓会長を支えて北海道大学医学部同窓会の発展に寄与するつもりですのでご指導よろしくお願いいたします。

 新入同窓会員歓迎会は学部6年生の都合を配慮して国家試験の最終日に開催されます。年にもよりますがこのような配慮にも拘らず欠席する学生が目立ってきているようです。今風の気質かもしれません。しかし、日頃より感じている危惧をこのことからも再確認してしまいます。初期臨床研修医制度が始まってから新人医師の大学・医局離れが始まったと言われますが、同じ線上にある現象ではないでしょうか。個での行動を好み、組織に属すると個の“自由”が奪われるという考えがその根幹にあるのでしょう。自分の希望にそぐわない事、不得意な事、つらい事を避けられない状況を極力忌み嫌います。彼らは“自由”という意味をはき違え、“不自由”という成長の機会を逃しているのです。客観的、長期的視野さえ持っていれば、間違った選択だとわかるはずですが、悲しいかな、若者にそのような視野を持つ事を望むのは容易ではありません。思えば私たちもそのような事は考えず、先輩の助言を疑う事なく信じただけですから。

 年々母校愛が希薄になってきているのではないかと案じられる現在、在校医学生の心に母校を大切に思う種を植える事が私に課せられている課題の一つだと思っております。同窓会は卒業したてのときはありがたみがわかりませんが、卒業して年月が経つにつれ、仲間の存在と自分のルーツ・アイデンティティーに関わる大切なものだと自覚してくるはずです。その事に多くの新人同窓会員が早く気づいてくれるように医学科教務委員長としても、同窓会副会長としても種を植え続けたいと思います。

 

 
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