年頭のご挨拶
同窓会会長
齋藤 和雄(35期)
 

 

 新年明けましておめでとうございます。新しい年を迎え、会員諸賢におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

 さて、昨年は近年経験したことのない経済情勢の悪化に看まわれ、これに政治の低迷が加わり、混沌とした1年であったように思われます。しかし、学術面では6年振りに小林誠、益川敏英、下村脩、南部陽一郎の4氏がノーベル賞受賞を果たし、1949年の湯川秀樹博士の受賞以来、わが国の物理・化学の水準の高さを引き続き示したことはこの上ない誇りの年でもありました。医療分野では、特定検診がスタートしましたが、国は高齢化社会に対応した医療政策と銘打ったものの、国民の健康重視よりも経済重視からの政策であり、疾病の予防と早期発見に対するこれまでの政策より、昨年の厚生年金ならびに健康保険負担料率の増加、年金支給率の減少、老人医療費の3割自己負担の実施などに加えてさらに後退した政策の何ものでもなかったように思われます。そして政治、経済混迷の状況が改善する兆しも見えないうちに新年を迎えてしまいました。しかし、出来るだけ早くこの苦境から脱却し、希望の持てる年になって欲しいと思います。勿論、経済不況は諸外国でも同様と考えますが、政治の低迷は先進国の中で我が国がもっとも深刻ではないかと心配されます。米国では昨年大統領選挙が行われ、国民の期待を集めてオバマ氏が次期大統領に決まりました。諸外国ではこの結果を好感と期待を以って受け入れたことと思います。米国の選挙戦を通じて感じたことは私だけでなく、我が国の政治家達は、政治とは何か、政策とは何かをもっともっと真剣に考えて実行して頂かなければ日本は停滞するだけで、将来浮かび上がることは難しいと考えます。そして官僚達にも同様のことを望みたいと思います。

 また、最近2年間の臨床研修を義務付けたことにより、緊急時と大学病院および地方の医師不足が取りざたされ、2009年度から医学部定員を私立大24校で238人、国立大39校で199人増し、総定員数を過去最高の8,486人とすることが決定されました。過去においても1県1医大政策に加えて定員増が施されたが、数年経って医師過剰が訴えられ、定員減の措置が講じられました。今回も同様の経過を取るのではないかと心配されます。母校の医学部はこのような厳しい状況下で、創立90周年を迎えます。行事としての第3回フラテ祭は9月20日に、記念式典は10月12日に、行われる予定となっております。会員諸賢のご理解を賜りながら教職員ならびに同窓生が一丸となって医学部のさらなる発展を祈念し、新年のご挨拶といたします。

 終わりに、会員諸賢の益々のご活躍とご健勝を祈念し、平成21年が実り多い年となりますよう願って止みません。

 
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