「君と一緒に考える:人類と地球の健康」のワークショップを開催して
                          〜忘れられている熱帯病を顧みて〜
北大大学院医学研究科 予防医学講座 国際保健医学分野
玉城英彦(会員2)
 
私たちは、北大サステイナビリティ・ウィークの一環として、2008年7月5日学術交流会館において、北海道新聞社と共催で上記のワークショップを開催した。

本ワークショップでは、「世界の健康や水問題を通じて、北海道の若者を中心とした一般市民が国際協力に参加し、国際貢献に寄与するための具体的な方法や手段などを、専門家と一緒に考える」ことを目的とした。

今回、海外の出席者3名を含む104名が参加した。

世界では、10億人(16%)が「顧みられない熱帯病、NTD」(メジナ虫症、アフリカ睡眠病、リーシュマニア症症など)に感染し、安全な水と衛生へアクセスできない人はそれぞれ11億人(17%)と26億人(42%)にも上る。NTDの多くが予防そして治療可能であるものの、最貧国の途上国で多発しているために先進国の人々からは顧みられない。

私たちはこの世界の健康格差の現実に目をつぶってもいけないし、忘れてもいけない。
周りの人々やそれを取巻く環境に対する「無関心」は最大の悲劇であり、飽くなき関心こそが問題解決への原動力だ。

プログラムは4部構成であった。

セッションTでは、 開催趣旨説明と世界の健康格差や水事情を紹介し、参加者と共にこれらの現状を共有した。

セッションUでは、1)世界のNTDについて(WHO)、2)マラリアについて(愛媛大学)、3)国際衛生年の取り組み(JICA)、4)開発途上国の水と衛生問題 (JBIC)に関する現場からの報告があった。

セッションVでは、これらのセッションの発表を踏まえて、グループ討論が行なわれた。
グループの代表の発表について専門家がコメントするという、双方向の意見交流を行った。

わが国の経験を積極的に伝授したいという参加者に対して、専門家はその情熱に圧倒されつつも地域文化や習慣などを考慮した取り組みを、と力説していた。セッションVIでは、北大、WACCA学生団体、WHO、JICAの活動が発表された。また、国際協力・貢献の方法や手段、国連職員になるための具体的なロードマップを紹介した。

世界の現状と格差に関心を寄せ、それに対して自分に今、そして将来何ができるか考える機会を提供できた。
グローバルな問題にも真正面から挑戦する若者が、北の、希望の大地に大勢育つことを期待したい。
 
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