齋藤 和雄
 年頭のご挨拶

同窓会会長 齋藤 和雄(35期)

 

 新年明けましておめでとうございます。

 会員諸賢におかれましては新しい年を迎え、多くの新しい抱負で胸を膨らませていることと心からお慶び申し上げます。

 旧年中は、年末に京都大学の山中伸弥教授による人皮膚からの万能細胞の画期的発見というニュースを除けば、近年にないほど多くの心痛極まる出来事が多かったように思います。今年はなんとか心温まる良いビッグニュースを多く期待したいものです。

 さて、医療情勢は厳しく、4月には診療報酬の引き下げが実行されようとしています。世界経済、とりわけ、わが国の政治経済の低迷には困惑せざるを得ません。政治家の資質と金の問題、国の施策を預かる官僚制度の在り方や公務員の汚職には目に余るものがあります。さらに先見の明に欠けた改革、そのいい例として国の文教政策が挙げられます。

  この度実施された世界の学力テストで1位はスエーデンで日本は15位でした。国内の学力テストで46位の県の学力は世界でいったい何番目になるのでしょうか。そもそも文教政策は国の人材育成柱であり、国の経済には余り影響されない独立した政策を推し進めていかなければならない筈です。研究面においても同様であります。国は多くの国立の研究所や病院を機構化して効率の上がらない機関を縮小、合併、廃止の方向で処理しようとしています。さらに、教育と人材育成および研究の要である国立大学を独立行政法人化したが、これらの改革は、教育と人材育成、基礎および応用研究の推進等をどのようにしたら国の発展に繋げることが出来るのかではなく、多くの無駄な予算執行で生じた経済の悪化の後始末から生じたもので、目的は予算削減のために行われた改革であると言わざるを得ません。

  現在、国立大学では大学本来の目的から外れた経営陣が管理運営組織に入り、経済を中心においた視点からの意見具申が行われている状態です。大学病院においても然りで、予算の削減と長時間労働によって医学医療に関わる大切な研究を行う余裕すら無い現状です。
 
  国は、防衛予算の割合だけでなく、文教予算の割合を提示して国の発展に関わる方向を示す必要があると思われます。教育研究および福祉面でどこの国よりも進んでおり、長寿国であるスエーデンに多くを学ぶ必要のあることを強調したいと思います。

 今年は平成20年という節目の年で、しかも子年、干支の始めのスタートの年であります。そして来年は母校創立90周年を迎えます。同窓会活動の活性化と一層の結束を祈念して年頭のご挨拶と致します。

 
<<<戻る

 
Copyrught(c) Hokkaido University Medical School Alumni Association.