『わたしも・・』

　北の都札幌に、夏の訪れを告げる北海道神宮祭である。
　 空は青く深く、木々の緑は鮮やかな緑を増し、地の花はあらゆる色を競い合うこの素晴らしい季節には、神様も年に一度、お社を出て、野や街を渡り歩くのをお楽しみのようである。
　 昼休み、神輿渡御の先導を勤める勤王鼓笛隊の音に誘われて、カメラを手に街へ出た。先回りして交差点の横断歩道でカメラを構えた。そばにいた幼い女の子が鼓笛隊のリズムに誘われるように手にもった笛を吹き始めた。わたしも・・と次第に音が高くなり、気持ちはすっかり隊に同化している。
　 お祭りの行列よりこの写真が面白くて、編集委員会で一面の写真を選択する席上に、編集委員長である私の名前を伏せて出しておいた。数枚の中から選ばれた一枚である。