齋藤 和雄
  卒業生を送ることば
医学部長
井 上 芳 郎(会員2)
 

 北海道大学医学部の全課程を修了し、学位記を手にされ、医師として新たに出発のスタートラインに立つ皆さんの喜びはいかばかりかと心よりお祝い申し上げます。本医学部は第74期の皆さんを加えて6917名の同窓を送りだしました。先に卒業した先輩たちは北海道医療界の中枢にいるだけでなく、日本全国、世界の各地で活躍しております。皆さんにも是非広い世界で医療、生命医科学あるいは医療行政の分野で活躍することを期待しております。
  ご存じのように21世紀の日本は少子・超高齢化社会が到来し、医療の面におきましても福祉社会の経済的破綻もありうる厳しい状況が予想されます。また、先端的な医療技術が開発される中で、生命の尊厳と医の倫理性を常に自覚し、患者さんを中心に患者さんの目線の高さで、経済性を含めて総合的に医療を施すことが求められます。その中で国民一人一人に健康な生活を保障するために、今まで修得した医学知識・医療技術の研鑽を深め、高度医療に対応できる技能を身につけるだけでなく、広く社会的な視野を持ち、看護、理学療法、作業療法等々ほかの医療人と協調して医療の現場で中心的役割を果たすよう努力していただきたいと思います。 北海道大学医学部はほぼ80年を経て、4月より大学院大学として新たな道を開くことになりました。3年後には北海道大学における最終学歴は学士(医学)ではなく、大学院医学研究科を修了して博士(医学)をもって最終学歴になります。卒業されましても医学・医療の先端的な研究分野を常に念頭に置き、大学院に進学して高度先進医学・医療の担い手になることも皆様方に期待されております。このように厳しい毎日が待っている訳ですが、その中にも現代医療の成果を実感し、生命の尊厳や健康に生きることの喜びを患者さんと共に分かち合う楽しさも待っております。これから始まる新しい生活が皆さんにとって期待通りのすばらしいものであることを祈念いたします。
  皆さん方はこれからも附属病院に勤務するとしても、北海道大学と言う大学組織から離れるわけですがこれからの生活には常に北海道大学卒という立派な看板がついてまわります。同窓会はこの立派な看板を背負った卒業生が誇りと自覚を持って互いに親睦を図ることを目的にして組織されています。同時に同窓会は北海道大学の発展を願い、在学している後輩学生や教職員に対して何をしてやれるかを常に心に持ってきました。事実今までも同窓会からは臨床講堂の設備、アイヌ納骨堂設立、医学部図書館設立あるいは北海道大学国際交流基金設置など多くの経済的支援を受けてきました。皆さんもそれを利用し勉学の上で多大な恩恵をこうむっております。同窓会に入られた皆さん方もこの事実を忘れずに同窓会活動にご協力いただければ幸いです。

 
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